隠された記憶

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恐るべき緊張感。  なんとも怖い映画。。。

見終わった後、観客が誰も一言も発せず(エンドロールが無音だったこともあり)こんなに静かだった映画は初めて。

とても複雑でネタばれナシでは感想を書きようがないというか、観終わった後で更に謎が深まったというか。。。な感じなのでバシバシネタばれを気にせず書きます!

あらすじはこちらをご参照。(手抜き?)

このミヒャエル・ハネケ監督の作品は(ってピアニストしか観てないけど)”見る映画”ではなく、”観る映画”って感じで情報量が多そうでいながら核心に迫る情報は少ない。っていうか大事な情報は大抵文字情報ではなかった気がする。常に考えながら観ないとさっぱり訳が分からない(はず)。なのできっと観る人をある程度選ぶ映画だとは思う。
まあ、そんなに宣伝してる映画でもないし単館上映だし、全く興味のない人が間違って観ることはないだろうけどね(苦笑)

冒頭から自宅を録画されたシーンから始まるのだが、ビデオ録画されてるシーンは微妙に画面全体が揺れている。逆にそれで録画されたものなのか現実(?)なのか客観的に区別できるようになってる。1000987_02

録画の画像と(あえて)同じようなアングルで撮ったり時間帯を変えて撮ったりと(ビデオ画像と)混乱させようとしているようなシーンが幾つかあって紛らわしい。(きっと狙ってるんだろうけど)
更に合間に主人公のフラッシュバックがあったり、となかなか揺さぶりをかけてくる。

この映画のテーマは(わりと最初の辺りの)自転車の人とぶつかりそうなシーンにあると思われる。些細な出来事がスイッチとなり、嫌悪感や不信感を生み、それが自分と異なるカテゴリー(人種、性別、階級)であることにより増幅される。侵した者は時間と共にその事実すら(都合よく)忘れてしまうが、侵された者には記憶となり(時には事実以上に)残る。そしてそれがまた新たなスイッチとなり記憶の消去と上書きが互いに繰り返されていく。そんなことを考えながら観ていた。

なんでラストカットで彼等が一緒にいる展開は予想してなかったけど、それが彼なりの復讐なり報復なのかなと思った。

じゃあ彼(等)が犯人かというと、ちょっと疑問。

まあ、普通に登場人物の中だけで考えるときっと彼(等)なんだと思われるが、何故か最後のシーンも画面全体が微妙に揺れていた。。。

これがもし録画されていたのだとすると一体誰が撮っているの。。。?

そして、この映像も後日送られて来るのだと思うと、一体何のために?

う−ん、これ以上はとても怖くて考えられん。。。

こんな映画を元々カノと観るべきじゃなかったかなあ。。。
観終わった後はしばらく二人とも沈黙でした。。。